第11回 発達障害児とご両親の「身体自己表現力」を高める

0
698

 

 

 

 

第11回 発達障害児とご両親の「身体自己表現力」を高める

https://nyseikatsu.com/editions/749/pdf/page06.pdf

今、ドイツで研修中にこのコラムを書いています。

子供の発達障害をヒーリングするジェレミー・クラウス・アプローチを学んでいます。このメソッドは、フェルデンクライス・メソッドを基礎に発達障害児の機能快復に対象を絞って、軽いタッチで眠っている脳・神経機能を呼び覚ますメソッドです。5つの体感覚機能(視る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる)から、立つ、座る、歩く、物をつかむ、離すといった基本動作まで、自己表現に必要な身体機能を指導・回復するためのボディ・ワーク・セラピーです。

誕生前後の過度のストレスによってトラウマタイズドされた赤ちゃんの身体は、神経機能が遮断されていて、内外からの刺激を受け入れることが出来ず、それによって学習・発達するはずの運動機能が機能しないことがあります。例えば、脳性麻痺、事故や病気の後遺症、自閉症スペクトラム、ADDやADHD、トゥレット症候群やチックのような不随意運動、脊椎側弯症など、全身、あるいは部分的な緊張によって、全身を通しての動きのコーディネーションがスムーズにいきません。緊張して開くことを拒んでいる神経機能を目覚めさせるためには、軽いタッチで優しく彼らの神経細胞を安心させていくことが必要なのです。

通常、赤ちゃんは、ご両親の手や声や雰囲気に触れられることで自己を学んでいきます。この自己がフィジオロジー、解りやすく言うなら「身体自己表現力」です。「身体自己表現力」には、姿勢、態度、表情、しぐさ、そして感情など、その人のパーソナリティを示す身体行動が入ります。お子さんに発達障害があることを知って不安にならないご両親はいません。大きな不安を抱えて緊張したご両親の「身体自己表現力」は、衰えてしまうのが自然です。それでは赤ちゃんの緊張して閉ざされた能力を引き出すのは至難の業。そこで、是非とも赤ちゃんとご一緒に「身体自己表現力」を回復、あるいは高めて頂きたく思います。発達障害に気づいたら、できるだけ早いうちに手を打つべきです。脳が固まってしまわないうちの早期発見早期介入を極力お勧めいたします。

フェルデンクライス・メソッドに関しましては、ノーマン・ドイジ医学博士の著書、「The Brain Way of Healing」(残念ながら、現在英語のみ。)を、お読みください。この本の中で、フェルデンクライス・メソッドは、「世界中で、最も古いニューロプラスティシティ・ヒーリング」と説明されています。ニューロプラスティシティーとは、脳の吸収力、回復力、変化力といった意味です。