第4回 すべての人に好かれる必要はない(続)
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『五輪書』の解説文の中で仏教学者の鎌田茂雄氏は、「目で見るのは『見』で、心で見るのが『観』なのである。… 心とは臍下丹田(臍の下の下腹部に当たるところ。力を入れると健康と勇気を得るという)である。この丹田で相手の気の動きを見るのである。観の目が働くようになるのは、一朝一夕でできる物ではない。長い間の朝鍛夕練の結果、臍下丹田で見えるようになるのである」(講談社学術文庫)と解説しています。「すべての人に好かれたい人々」は、この「観る」目が働いていないのです。腹を据えて観ることができるようになってくると、皆さんの興味は自然と内側に向かいます。それに伴って、他人の目は気にならなくなっていくのです。目で見る物事に真実は存在しません。皆さんの真実は、常に皆さんの体の内側にあります。ですから、その内にある自分の真実を通して物事を観るのでなければ、物事の真実と繋がることは出来ません。
さて、ここでこの臍下丹田に実際何が存在するのかを考えてみてください。骨盤の真ん中辺りを中心に臍下丹田と呼ばれる、渦を巻くように生命エネルギーが湧き出る、体中で一番大きな気の泉があるのです。その辺りに存在するのは、男女共に小腸ですが、女性の場合、ちょうどその辺りに子宮があります。きっと赤ちゃんは、お母さんの心が具現化した結果なのかもしれませんね。つまり、赤ちゃんはお母さんの心そのものということです。そしてそこには「健康と勇気」の素は入っているはずなのです。その素が何かと言うと腸内細菌叢です。ここで私が「はずなのです」と書いたのは、入っているはずの腸内細菌叢が、ちゃんと入っていないことが現代人には多々あるからです。健康な人ならばこの腸内細菌叢が、まるでペンキを塗ったようにビッチリ腸壁を覆っているはずです。また、この叢(くさむら)を作っている腸内細菌たちは常に生まれ変わり新しく、それこそ芝生に例えるなら青々として元気なはずなのです。この腸内細菌叢が私たちの健康に直接関与することは、そろそろ皆さんもお気づきのことでしょう。この腸内細菌叢が健全であることなしに私たちは勇気を持つことなど出来ないのです。
人生に不安は付き物です。でも、問題が起こった時に対処する元気とスタミナ、そして対処できるという自覚があれば、不安に輪をかけて不安になることはないのです。現代人は不安の皮を何重にも着込んでいるのが問題なのです。この何重にもグルグル巻きになった不安を解消するには、神様にお願いしても無駄です。まずは、臍下丹田、つまり皆さんの心に住んでいるベストフレンドたち、腸内細菌たちを味方につけることです。