(前回からの続きです。)
七情には、善も悪もなく、全てが自然・必然なのですが、何故「怒っちゃいけない」キャンペーンによって、大々的にターゲットにされたのか解いてみたいと思います。
怒、悲、哀、不安、心配、驚、喜の七情のうち、どの1つの感情に執着しても、最終的に怒りになります。私がクライアントさんたちとのセッションを通して経験・理解したことを、2つのケーススタディによって、ご紹介しますね。
ケーススタディ1. 30歳後半のAさんの場合、ご主人が出世街道まっしぐらで仕事に忙しく、出張ばかりで家にいらっしゃらないのだそうです。お子さんはいらっしゃいません。マンハッタンのアッパーイーストサイドにある、素晴らしいコンドミニアムにお住まいで、お金の心配は今のところ一切ありません。外からは、非常に恵まれた生活をされているのですが、何時もイライラしていることにご自身で気が付いたそうです。ジムにいったり、ヨガやピラティス・エクササイズなど、身体を動かすと一時的にイライラが消えるのだそうですが、平和な時間が長続きしないのだそうです。
セッションが進んでいくうちに色々な事が分かってきました。先ず、彼女はご両親共働きで小さい頃から、いわゆる鍵っ子でした。赤ちゃんの時も、ベビー・シッターといる時間の方がお母さんといる時間より長かったそうです。週末にご両親が家にいても、仕事関連の電話とかお付き合いとかに忙しくて、心行くまで一緒に過ごした経験があったのかどうか、思い出せないとのことでした。
つまり、彼女は基本的に寂しい人になってしまっていたのです。
この寂しい自分というのは、彼女にとっては敗者なのだそうです。それで、敗者から抜け出せずにいる自分に怒っていたのです。
ケーススタディ2. 50歳半ばの彼女は、バリバリのキャリアウーマンですが、身体もバリバリでした。いわゆる五十肩でセッションにいらしたのですが、肩だけじゃあなくて首も回わりません。何時も自分は二の次で回りの人のことばかりが気になってしまう。良く言えば世話好き、悪く言えば大きなおせっかい。躾けに厳しいご両親に育てられました。あれもダメこれもダメと、食べる物から着る服まで全て、かなり大きくなるまで母親が決めたものを受け入れるだけで、自分で選んで決めるということがなかったのだそうです。また、風邪などで体調がすぐれないとなると、抗生物質などの薬を飲まされ、良くなるまで「絶対に!」外に出させてくれなかったそうです。
良ーく話を聞いてみると、お母さまは彼女を生む前に男の子を流産していたそうです。それで、お母さまも、せかっく五体満足で生まれてきてくれた彼女に執着してしまったのだということが分かりました。つまり彼女は、お母さまの「この子も何時かいなくなってしまったら、どうしよう。」という不安なエネルギーを着て育ってしまったのでした。
そうして、基本的に不安な人間になってしまった彼女にとって、不安な人は敗者なのです。敗者になりたくない彼女は、不安の原因を見ようとせず、対応できずに怒っていたのです。
以上は、ほんの数ケースですが、全ての感情が最終的に怒りになるということが、多少お判りいただけたのではないでしょうか?
♥今日の写真は、メキシコのトド・サントス(ホテル・カリフォルニアで有名な場所)のサンタフェというイタリアン・レストランで食べたカジキマグロのクルード。メキシカン・イタリアンなので、ライムジュース、オリーヴオイル、ケイパー、薄くスライスしたオニオンとシーソルトで食べる。