第6回目「GAPS用、食事治療 –1.」
今回から、GAPS患者(大人も子供も含む)のための食事治療について、お話していきます。
先ずは、GFCF(グルテンフリー・カゼインフリー)ダイエットとGAPSについてです。GFCFは、最近ではかなり知名度を上げてきました。グルテンは、穀物、特に小麦、ライ麦、大麦、オート麦に含まれるタンパク質で、カゼインは乳と乳製品に含まれるタンパク質です。
「GFCFダイエットでは、これら二種類のタンパク質を含む食べ物を全て排除することを目指します。この理論は確かに正しいのですが、その適用の仕方が問題です。自閉症の子どもたちは、腸内細菌のバランスが異常になっているため、加工・精製された炭水化物をひどく欲しがります。そしてその加工・精製された炭水化物こそが、彼らの胃腸に潜む病原菌の栄養源となってしまうのです。自閉症の典型的な発症パターンとして見られるのは、その子どもが、生まれてから最初の二年間のどこかで、パン、ビスケット、ケーキ、甘いお菓子、ポテトチップス、朝食用シリアル、パスタ、乳、加糖ヨーグルトといった、加工・精製された炭水化物と乳製品と砂糖しか食べない時期があるという事です。子どもたちの食べ物の好みを変える事は大抵に難しく、彼らは他の食べ物を受け付けようとしません。それでも子どもたちをGFCFダイエットに移行させなければならないので、グルテンを含む加工炭水化物が、米、砂糖、ジャガイモデンプン、タピオカ粉、大豆、ソバ粉などで作られた、グルテンフリーの加工炭水化物に置き換えられていきます。しかし、このような食べ物を食べると、GFCFダイエットを始める前の食事と変わらず、子どもたちの胃腸に住む悪玉菌に餌を与えることになってしまうのです。そうして子どもたちは、腸内ですでに起こっている悪循環から抜け出せなくなってしまいます。」(「Gut and Psychology Syndrome」より、翻訳。)
グルテンは、グルテオ・モルフィン、カゼインはカゾ・モルフィンと呼ばれる、モルフィネに近い麻薬的化学物質です。この麻薬様の蛋白質が腸内細菌叢のバランスが崩れた腸内では、消化中和されず、その毒が腸壁を通り抜けて血液中に混入してしまいます。特に子供達の脳は活発に発達している最中ですから、この麻薬入りの血液は脳へ、ドンドン運ばれてしまいます。大人であっても、麻薬を注射して血管に直接入れたら、どんな事になるか、想像に容易いでしょう。
そしてさらに、GAPSの場合、GFCFダイエットでは不十分で、治療の初めに一旦、全ての炭水化物、つまり植物系の食物を抜く必要があります。GAPSは、GFCFではない事を、ここで明確にしておきたいと思います。