10年くらい前だったと思いますが、日本式鍼を学びました。
中国医学と同様に、脈で患者さんの状態を把握するので、脈を読む勉強をしました。
そして、「同じ脈を持つ人は誰もいない」という事を学んだのです。Oh, My God!
基準にする一定の脈は、存在しないのだそうです。全ての人が、これでなければいけないという脈の状態、つまり健康状態は無い事になります。あるのは、本人が自分の状態をどう感じているかだけ。そして脈のバランスも、誰かに合わせて図るのではなく、本人の脈(五臓六腑の状態)のバランスを整えるという事になります。
西洋医学のように、ここまでの数値は正常だけど、これ以上は病気・・・みたいな全員にあてはまる基準がないのです。 もう、・・・なるほど・・・10人10色とは、そういう事か・・・・と、妙に納得しました。つまり、「誰か自分ではない人をもとにした病気」という概念が無いという事ですよね。
逆に言えば、みーんな、病気です。
自分の脈を正しい物とすれば、他の全ての人の脈が全部間違っている事になってしまいます。そして、誰かの脈を正しいとすれば、自分を含めた他の全ての人の脈は間違っている事になってしまうのです。
解りますか? 結局、体の状態も心の状態も、どちらにしても全員違って当たり前という事です。
脈は健康状態以上に、そのひとの人生その物を現します。つまり健康状態=生きる姿勢なので、脈が全員異なるのが自然なら、生きる姿勢に順ずる物の見方、考え方も違うのが自然、つまり、当たり前という事になります。
そうすると、現代の医学のようになんでもラボのコンピューターで測って、何を基準に決めたか知りませんが、ある基準に従って、この薬を飲むべきとか、飲まないべきとか言うのは不自然であるという事になってしまいます。
病気の概念が、東洋と西洋、あるいは昔と今では、根本的に違うのです。
貴方はどちらを信じたいですか?
他人を基準に生きるのか、自分を基準に生きるのか、どちらが正しいのでしょう?