前回の続きです。前を読んでいない方は、1~9を読んでからの方が、解りやすいかも。
2つの脳
マイケル・D・ガーションという神経生物学者が著書の「The Second Brain」の日本語訳が小学館から出版されているので、興味のある方は読んでみると良いでしょう。
この本の日本語のサブタイトルは、何と「腸にも脳がある!」と、私がプラクティショナーを務めるGAPSとピッタリあっているんですねえ。 この英語のサブタイトルは「A Groundbreaking New Understanding of Nervous Disorders of the Stomach and Intestine」、訳すと、「革新的な、胃腸系神経障害の新しい見解」と言った感じでしょうか。簡単に説明すると、腸には脳以上に沢山の神経が走っていて、実は頭の中の脳以上にパワフルに、本人の意志を左右する・・・と言った感じでしょうか。
つまり、人体には、頭の中の脳みそと、昔から言われる「腑に落ちる」、英語では「Gut Feeling」の、2つの思考機能が存在するという事です。「腑に落ちる」は、単なる気のせいではない事を、ガーション博士が発見し科学的サポートと共に、この本に発表したという事です。
この「腑に落ちる」方の、「第二の脳」の特徴について、この本から抜粋してみます。
「現在われわれは腸に脳がある事を知っている。 とても信じられないことかもしれないが、あの醜い腸は心臓よりもずっと賢く、豊かな「感情」をもっているのである。脳や’脊髄からの指令がなくとも反射を起こせる内在神経系を持っている臓器は腸だけなのだ。
進化はうまい工夫をした。われわれの祖先がアメーバ状の原始的生物から進化して背骨を獲得したとき、頭蓋と腸の両方にそれぞれ別の感情をもつ脳を発達させたのである。そのおかげで動物は食物を捜したり、危険を回避したり、相手を捜してセックスするといった魅力的な仕事に専念できるのである。その間、腸が消化と吸収をすべてひきうけてくれているので、脳のエネルギーを腸に向ける必要はない。腸は自分のことは自分でできるのだから。」(p18)
つまり、頭の中の脳が体外の事象に対応している真っ最中でも、腸の方の脳が体内の事象に対応できるという事です。 人間の身体機能は、時間とチャンスを無駄にしないように、うまい仕組みがちゃ~んと組み込まれているという事です。
この仕組みを自然の掟に従って有効活用するならば、健康を保ったまま、幾らでも頭の脳は発達し続けることができるわけです。いやいや、健康を保っていれば、もしかして、脳は勝手に、幾らでも発達し続けるかもしれませんね。
ああ・・・ウェストン・プライス博士をご存知ですか? 彼の著書「Nutrition and Physical Degeneration」 (日本語訳は、「食生活と身体の退化」片山恒夫/恒志会訳)の内容と、繋がってきましたよ・・・・・(続く)。