Dr. Natasha Cambell-McBride MD, MMedSci (neurology), MMedSci (nutrition) 著
「Gut and Psychology Syndrome」の 105ページ目から。
翻訳:阿部里果 ©Natural Healing Artists Inc. & Makiko Oka
加工食品は食べないで!
「朝ごはん用シリアルが何でできているか知っているかい?
鉛筆削りの中にあるような、丸まった木の削りくずさ!」
ロアルド・ダール、1964
(チャーリーとチョコレート工場)
私たちは、便利な加工食品に囲まれて生活しています。だしの素、鍋の素、コンソメキューブ、カップラーメン、出来合いのパスタソース、コンビニ食品など挙げれば切りがありませんが、これらは全て加工に加工を重ねて作られた食品で、本物の自然の食べ物からは程遠いものです。母なる自然は、人間をこの世に送り出すと同時に、私たちが健康で、活動的で、エネルギーに満ち溢れた生き方をするために必要な食べ物を、全て授けてくださったのです。ですが、それらの食べ物を、自然が生み出してくれたままの形で食べなければ意味がないのです。全ての問題は、人間が自然の食べ物に手を加え始めた瞬間に始まるのです。食べ物の加工は、いかなる方法であっても、その食べ物の化学的、生物的構造を変えてしまいます。そして、人間の体はそれらの変性食物を吸収するようにはできていないのです!食べ物が加工されればされるほど、栄養分はますます失われ、その化学的な性質も変化していきます。食べ物の加工は栄養価を下げるだけでなく、味、風味、色など様々な性質を本来のものから遠ざけてしまいます。そして今度はそれを補うために、私たちはありとあらゆる化学物質を添加しているのです。調味料、着色料、Eで始まる番号のついたさまざまな物質、添加物、保存料など・・・。こういった化学物質の多くは、多動性、学習障害、精神疾患などの健康問題の一因となることが明白に示されています。自然の食べ物は日持ちしないので、食品業界はそれらを長期保存可能な食品に変化させなければなりません。そうして自然の食べ物は高温、圧力、酵素、溶剤などの数え切れないさまざまな種類の化学物質にさらされます。油脂には水素が添加され、タンパク質は変性させられます。こうして化学物質の寄せ集めとなった食べ物は、きれいに包装され、「食品」として売り出されるのです。ここで言う「食品」とは、食品業界の利益や流通の利便性など、商業的な目的のみを考えて作られたもので、製造過程において、私たちの健康はまったく考慮されていないのです。食品製造業者には、すべての原材料をラベルに記載することが義務付けられています。しかし、原材料がすでに加工されている場合や、加工物質から作られている場合、業者はその原材料の原材料を記載する義務を免除されています。つまり、砂糖やグルテンなど特定の成分を避けたい場合、原材料表示をチェックするだけでは、十分ではない場合もあるということです。
スーパーマーケットの陳列棚をよく見ると、加工食品の大部分が炭水化物であるということに気が付きます。さまざまな朝食用シリアル、ポテトチップス、ビスケット、クラッカー、パン、菓子パン、パスタ、チョコレート、甘いお菓子、ジャム、調味料、砂糖、保存加工された果物や野菜、ころもをまとい、デンプン質を多く含んだ加熱調理済みの冷凍食品などはすべて、何度も加工された炭水化物です。これらの食品の一部は追って個別に取り上げますが、まずは加工された炭水化物全体についてみてみましょう。
通常食べ物に含まれるすべての炭水化物は、消化によってグルコースにまで分解され、吸収されます。自然な形の炭水化物は、果物、野菜、穀物といった食べ物の中に多く含まれています。私たちがこれらの食べ物を自然で未加工のまま食べると、炭水化物はゆっくりと吸収され、人間の体が無理なく対応できる、緩やかな血糖値の上昇を引き起こします。一方、加工された炭水化物は、非常に素早く吸収され、不自然で急激な血糖値の上昇を引き起こします。血糖値は、低すぎても高すぎても人体に有害なため、私たちの体はありとあらゆる手段でこの濃度を特定の範囲に保っています。高血糖と呼ばれる血糖値の急激な上昇が起こると、私たちの体はショック状態に陥り、多量かつ早急なインシュリン分泌を促して過剰血糖に対応しようとします。一時間ほど経つと、このインシュリンの過剰分泌が、今度は低血糖と呼ばれる血糖値の非常に低い状態を引き起こします。朝起きて、砂糖がたっぷり入った朝食用シリアルを食べてからわずか一時間後に、また空腹感を感じたことはありませんか。これが低血糖です。そしてその空腹感を満たすために間食として食べるものは何でしょう。ビスケット、チョコレートバー、コーヒーなどです。そしてまた高血糖、低血糖のサイクルが繰り返されるのです。このジェットコースターのような血糖値の上下は、GAPSの症状を持つ人にとってはもちろん、全ての人の体にとって非常に有害です。この血糖値の乱高下が、就学児童に見られる多動性障害、集中力の欠如や学習障害、攻撃性など、さまざまな行動異常の直接的な原因となっていることが証明されています。高血糖の状態は気分を「ハイ」にし、自閉症の子どもではこれが多動や躁の傾向、自己刺激行動となって現れます。一方低血糖になると、彼らは気分がすぐれず、しばしば頭痛を訴え、不機嫌、かんしゃく、攻撃性、過剰な発汗を伴う全身の疲労がみられるようになります。(図4)
加工炭水化物に関してもうひとつ重要な点は、それが腸内細菌叢に有害な影響を及ぼすということです。私たちが健康を維持する上で、バランスのとれた腸内細菌叢が非常に重要な役割を担っていることは、すでに詳しく述べてきました。加工炭水化物は、消化器官内に潜む病原性の細菌類や菌類の栄養源となり、その数を急増させてしまいます。それだけでなく、加工炭水化物は消化器官内で粘着質の物質となり、体内の寄生虫が定着し、成長するための格好の土台となってしまいます。こういった微生物はすべて毒性の物質を産出し、その毒が血中に入り込み、その人の体をまさに「毒して」しまうのです。GAPSの症状がある子どもまたは大人が、加工炭水化物(グルテンを含むかどうかは関係なく)を食べれば食べるほど、その体内にはさらなる毒が充満し、自閉症、統合失調症、多動症などの症状がますます現れるようになります。
これまでの章で、GAPS患者の免疫機能状態について詳細に考察してきました。免疫機能の低下が、GAPSの発症を促す大きな原因となることはすでに述べたとおりです。そして、その私たちの免疫機能を壊してしまう大きな原因が、腸内細菌バランスを崩してしまう加工炭水化物なのです。しかし、加工炭水化物の免疫システムへの影響は、このような間接的なものだけではありません。加工食品、特に加工炭水化物と砂糖が、マクロファージやナチュラルキラー細胞およびその他の白血球細胞の機能を直接的に弱め、体の感染症に対する抵抗性を徐々に低下させてしまうことを示す、十分な証拠が存在します。免疫機能のすでに低い人が、糖分の多い飲み物やポテトチップスを摂取し続けると、それらの食べ物によってその人の免疫機能はさらに低下してしまうということです。
ここで、私たちが最も目にする機会の多い加工炭水化物について、考察してみたいと思います。
朝食用シリアル
テレビのコマーシャルを見ていると、朝食用シリアルは健康に良いと宣伝されているはずなのに、これは一体どういうことでしょう。残念ながら、本当のところは全く逆なのです。
・朝食用シリアルは、砂糖や塩など、健康に悪影響を与える物質をたっぷりと含んだ、加工度の高い炭水化物です。あなたがボウル1杯の朝食用シリアルをお子さんに与えると、お子さんの体内ではその日最初の血糖値の乱高下が引き起こされ、またいつもの手に負えない行動の対応に追われる一日が始まるのです。
・朝食用シリアルに含まれる多量の加工炭水化物は、消化器官内の好ましくない細菌や菌類の栄養源となり、それらの細菌や菌による毒の産生を促すため、GAPS患者はその症状から抜け出すことができなくなってしまいます。
・食物繊維についてはどうなのでしょう。メーカーは、彼らの商品をボウル1杯食べることで、必要な食物繊維量を摂取することができると主張しています。残念ながら、朝食用シリアルに含まれる食物繊維は、GAPS患者にとって好ましくない種類のものなのです。朝食用シリアルの食物繊維にはフィチン酸という物質が多く含まれており、この物質が必須ミネラルと結合して体外に排出してしまうため、患者をミネラル不足の状態に陥らせる一因となります。
・ある食品研究室で、面白い実験が行われました。いくつかのブランドの朝食用シリアルと、そのシリアルが入っている紙箱の栄養価を分析するという実験です。その結果、木材パルプでできている紙箱の方が、シリアル自体よりも人体に有用な栄養を多く含んでいたのです。実際、朝食用シリアルの栄養価は非常に低いものです。これを補うために、メーカーは合成ビタミンを添加し、朝食にボウル1杯のシリアルを食べれば、さまざまなビタミンの一日の所要量を摂取できると宣伝しています。しかし、人間の体はそんなに単純ではありません。私たちの体は、自然の食べ物に入っている、自然な形のビタミンを認識し、利用するようにできているのです。合成ビタミンの吸収率が非常に低いのはこのためです。これらの合成ビタミンの大部分は、私たちの体にとって何の役にも立たないまま消化管をただ通り抜け、体外に排出されるのです。うまく吸収された部分でさえも、体が食べ物と認識しない場合が多く、その場合まっすぐ腎臓に運ばれて尿中に排出されてしまいます。これが、薬漬けの現代社会において、「高価な尿」という新しい問題が生まれてきている理由です。
このようなことから、テレビコマーシャルが何と言おうと、朝食用シリアルがGAPS患者の健康に良いということはあり得ないのです。
ポテトチップスやフライドポテトなど、デンプン質の多いスナック類
ポテトチップス、フライドポテト、ポップコーンは、現代の子どもが最も良く食べるものとなっていますが、これらも何度も加工処理を受けた炭水化物で、腸内細菌叢に有害な影響を与えます。しかし問題はそれだけではありません。これらの食べ物には、超高温まで熱せられた植物油がたっぷり染み込んでいます。いかなる種類の植物油も、熱せられるとトランス脂肪酸という、化学構造の変化した不飽和脂肪酸を含むようになります。トランス脂肪酸は、私たちの生命維持に必要な、細胞構造内のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸と入れ替わり、その細胞を機能不全の状態に陥らせてしまうため、人体にとって非常に有害です。また、トランス脂肪酸はTh2免疫細胞の働きを亢進させ、Th1免疫細胞の働きを抑制することが知られており、免疫機能にも直接的なダメージを与えます。すでに述べてきたように、多くのGAPS患者の免疫系統は、Th1細胞の働きが低下し、Th2細胞が亢進しすぎている状態のため、トランス脂肪酸の摂取はさらにこれを悪化させてしまいます。実際、癌、心臓病、湿疹、ぜんそく、さまざまな神経系と精神の異常が、トランス脂肪酸の日常的な摂取と関連付けられてきています。油脂類の加工については、「良い油脂と悪い油脂」の章で詳しく述べていますので、そちらを参照してください。
最近、ポテトチップスやフライドポテトを食べないほうがよいとする論拠として、もうひとつ強力なものが出てきました。
アクリルアミド
2002年春、スウェーデン食品庁とストックホルム大学が、調査の結果、ポテトチップス、フライドポテト、パンなど、デンプン質が多く、焼く、揚げるといった調理をした食品に、神経毒性と発がん性の高い物質が含まれていたと発表しました。これは、アクリルアミドと呼ばれる物質です。ノルウェー、イギリス、スイスの科学者もこの調査結果が正しいことを確認しています。これらの研究では、高温で揚げたり焼いたりしたデンプン質の多い食品に、特に高い濃度のアクリルアミド含有量が見られました。最近、この非常に危険な物質がインスタントコーヒーにも含まれていることが分かりました。世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、アクリルアミドの食品中での発生過程を明らかにする計画、および、この物質が癌、神経障害、不妊症を引き起こす可能性があることから、アクリルアミドの食品からの除去方法を見つけ出す計画を発表しています。アクリルアミドは私たちの健康にとって非常に有害なため、食品梱包資材中の含有量には最大許容量が設定されています。つまり政府機関は、何年も前からビニールの食品梱包材中のアクリルアミド量をコントロールしようと努めてきたのに、誰もその梱包材に包まれた食品自体には目を向けなかったのです。そして今では、それらのビニールパッケージにくるまれた食品の一部に、全ての最大許容量をはるかに上回る、信じられないほど高い濃度のアクリルアミドが含まれていることが分かったのです。このような事実からも、GAPS症状が見られる子どもや大人が、ポテトチップスやフライドポテトなど、デンプン質の多いスナックを食べない方が良いということは明らかです。
小麦
自閉症、統合失調症、セリアック病患者には、食事からグルテンを排除することが勧められているため、こういった障害を抱える人たちは、グルテンフリーの小麦を使った食品を中心とした食事をしています。しかしここでは、今一度グルテンの有無に関係なく、小麦自体について考えてみたいと思います。現在では穀物の小麦を買ってきて自宅で一から料理を作ることは少なく、私たちは小麦を、大抵パンやビスケットといった、小麦からできた市販の食品という形で食べています。この市販の食品に含まれる小麦は、店がさまざまな種類のパン、ビスケット、菓子パンを作るために、パッケージ商品のミックス粉という形で仕入れるものです。そして、このミックス粉はすでに加工という処理を経たものなので、栄養価は失われ、品質を保つための保存料、害虫予防の殺虫剤、乾燥剤、着色料、香料、軟化剤・・・挙げれば切りがありませんが、こういった添加物がたっぷり付加されているのです。そしてパン屋はこの化学物質の寄せ集めとなった粉を使って、私たちの口に入るパン、菓子パン、ケーキ、ビスケットなどを作るのです。粉業者は、これらのミックス粉からグルテンを除去してグルテンフリーの商品を提供し、売上を伸ばしています。つまり、体のことを考えてグルテンフリー食品を選んでも、それらはグルテンが含まれていないというだけで、加工され、化学物質がふんだんに添加されている炭水化物であることには変わりがないのです。ひとたび飲み込まれると、白パンのかけらは糊のような粘着質の大きな塊となり、消化器官内の寄生虫、病原性の細菌類や菌類の栄養源となり、GAPS患者の全身で起こっている毒の氾濫を、さらに悲惨な状態にしてしまいます。欧米諸国民の主食である小麦は、食物アレルギーや食物不耐症の第1位の原因にもなっています。
砂糖と砂糖を含む食品
砂糖はかつて、「白い死神」と呼ばれたことがありました。砂糖が及ぼす影響を考えると、そう呼ばれて当然です。この100年間で、全世界の砂糖の消費量は激増しました。欧米諸国民1人あたりの平均の年間砂糖消費量は、おおよそ73~90キログラムであると推定されています。私たちの生活は砂糖で溢れていて、砂糖を含まない加工食品を見つけるのは困難です。砂糖は血糖値の乱高下を引き起こし、腸内細菌バランスに悪影響を及ぼすだけでなく、私たちの免疫機能にも直接ダメージを与えることが明らかになっています。GAPS患者の免疫機能はすでに低下している状態にあるので、砂糖が及ぼす影響は甚大です。おまけに、砂糖は栄養不足の状態も引き起こしてしまいます。なぜなら私たちの体は、砂糖の猛襲に対し、体内にある大量のミネラル、ビタミン、酵素を使って対応しなければならないからです。たとえば、体がわずか1分子の砂糖を代謝するためには、約56分子のマグネシウムが必要になります。砂糖の消費は、現代社会にまん延するマグネシウム不足の主たる原因となっており、その結果、高血圧、神経障害、免疫障害などの多数の問題を引き起こしています。GAPS患者は、ただでさえ消化吸収機能の低下で、マグネシウムなど多くの必須栄養素が不足しているので、いかなる形の砂糖摂取も避けなければなりません。ケーキや甘いお菓子など、菓子類全般の主要原材料は砂糖と小麦で、その上着色料、保存料、香料などの化学物質がたっぷり入っています。当然、そのような食べ物は食べない方が良い(グルテンの有無にかかわらず)ということになりますね。
現代社会では、清涼飲料水も主な砂糖の供給源となっています。そしてもちろん、これらの飲料にも様々な化学物質が添加されています。ソーダ1缶には、小さじ5~10杯もの砂糖が含まれています。フルーツジュースには、加工された果糖とかびがたっぷり入っています。搾りたてのもの以外のフルーツジュースは飲まないようにしましょう。「ダイエット飲料」と呼ばれる飲み物に入っている砂糖の代用品、アスパルテームには、発がん性、神経毒性があることがわかっています。GAPS症状のある子どもや大人は絶対に摂取を避けるべきです。業界は新しい加工人工甘味料(キシリトール、コーンシロップやアガベシロップといったシロップ類など)を次々に市場に投入していますが、一つとして信頼できそうなものはなく、GAPS患者はそれらの甘味料は全て摂取しないようにすることが大切です。
砂糖や小麦は様々な食品に忍び込み、気付かないうちに私たちの健康を蝕んでいます。スーパーマーケットに並ぶ加工食品全てに含まれていると言っても良いでしょう。
まとめると、自閉症、統合失調症、多動症、失読症、ぜんそくなどの症状に関わらず、全てのGAPS患者は毎日の食事から一切の加工食品を排除しなければなりません。食べ物は新鮮で、自然の産物にできるだけ近い形のものを買い、自宅で料理しましょう。私たちの消化管は長いチューブです。このチューブを満たす食べ物の選択は、チューブ自体の健康状態を左右します。GAPS患者の消化器官はダメージを受け、非常に敏感な状態になっています。この敏感な消化器官を満たしても問題のない、信頼できる商品を作っている加工食品メーカーはこの世に存在しません。GAPSの症状があるお子さんの(あなた自身に症状がある場合はあなた自身の)消化器官を、自家製の栄養たっぷりの食べ物で満たさなければなりません。そうすれば、毎日の食事が何でできているか、またどうやって作られているかを細かく管理し、コントロールすることができるのです。
大豆は食べないで!
大豆産業は、特にアメリカ合衆国で巨大ビジネスとなっていますが、業界で利用されている大豆の大部分は遺伝子組み換え大豆です。大豆は栽培コストが低く、一部の研究で更年期の女性に有益な効果をもたらす可能性が示されたことから、市場は大豆製品で溢れるようになりました。現在では大豆は、さまざまな加工食品、マーガリン、サラダドレッシングやソース、パン、ビスケット、ピザ、離乳食、子ども用スナック、甘いお菓子、ケーキ、ベジタリアン用商品、乳製品の代用品、乳児用調合乳などの原材料として使われています。何も問題はないのでしょうか。真相を見ていきましょう。
1.日本や東洋諸国では更年期の女性に対する効果が見られていますが、こういった国々では大豆を、加工されていない丸大豆か、大豆を発酵させて作る醤油、納豆、味噌、テンペなど、昔ながらの方法で食べています。分離された大豆タンパク質(soy protein isolate)を食べている欧米諸国とは事情が違うのです。この分離大豆タンパク質はどのようにして作られるのでしょうか。まず、大豆をアルカリ溶液に浸けて繊維質を取り除いた後、アルミニウムの大きなタンクに移し、酸洗浄にかけます。酸性の環境において大豆はアルミニウムを吸収し、このアルミニウムが最終製品にも残留します。アルミニウムは、痴呆症やアルツハイマー病に関連があるとされており、実際に大豆消費とこれらの精神障害との関連性を指摘した記事が、最近になって多数公表されています。酸洗浄でアルミニウムを吸収した大豆は、今度は硝酸塩などの多数の化学物質を使って処理されますが、この硝酸塩も癌の発生に関与することが示されています。こうして出来上がったほとんど味のない粉末は、利用しやすく、あらゆる食べ物の原材料として使うことができます。現在では、豆乳や乳児用調合豆乳など、加工食品の最大60%にこの粉末が使われています。
2.大豆は天然の甲状腺腫誘発物質です。つまり、大豆はヨウ素の吸収を妨げ、甲状腺機能を低下させる作用を持つということです。さまざまな毒素で満たされているGAPS患者は、ほぼ全員と言ってよいほど、甲状腺機能不全の状態に陥っています。つまり、甲状腺の機能がすでに低下しているのです。甲状腺機能の低下は、脳の発達異常、成熟異常などの形で、育ち盛りの子どもに重大な影響を及ぼす可能性があります。大豆を日常的に食べ続けると、そういった子どもたちの甲状腺機能はますます低下してしまう可能性があります。
3.大豆は非常に高い濃度のフィチン酸を含んでいます。この物質はあらゆる穀物にも含まれ、特にふすまに多く含まれています。フィチン酸は特にカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラルと非常に結合しやすいため、それらの体内への吸収を阻害します。GAPSの症状を抱える子どもや大人は、こういった必須ミネラルが不足した状態にあることはすでに述べたとおりです。大豆を日常的に食べると、このミネラル欠乏の状態がさらに悪化してしまう可能性があります。
4.自閉症の子どものアレルギー検査を多数行ってきたグレートプレインズ研究所による調査で、対象となった自閉症の子どものほぼ全員が、大豆に極めて高いアレルギー反応を示しました。このようなことから、同研究所長のウィリアム・ショー博士は、自閉症の子どもに大豆を与えないよう、はっきりと忠告しています。
5.大豆は、天然のエストロゲンであるフィトエストロゲンを含むことから、更年期の症状を緩和するとして人気を博しています。女性ホルモンに似た働きをするこの物質は、更年期の女性には有効かもしれませんが、幼い子どもに対してはそうでない可能性があります。実際に医療従事者の間では、乳児や幼児が豆乳や乳児用調合乳の飲用によって摂取し得るフィトエストロゲンの量に関し、懸念が高まっています。繰り返しますが、体内に毒が充満していることで、GAPS症状のある子どものホルモンバランスはすでに崩れた状態になっています。それをフィトエストロゲンなどでさらにかき乱すことは避けた方が良いでしょう。
今日では世界で生産される大豆の90%が遺伝子組み換え大豆です。そしてほとんどの場合、それが遺伝子組み換えであるという表示がされていません。ですので、いずれにしてもGAPS患者は大豆の摂取を避ける方が良いでしょう。納豆、味噌、醤油などの、昔ながらの発酵大豆食品であれば、GAPSプログラムの終了次第、食べても良いでしょう。そのような発酵食品であっても、使われている大豆がオーガニックで非遺伝子組み換えであることを確認してください。
GAPS症状を克服したお子さんのご両親からの手紙 (2003年11月23日)
ウォーカーが中度から重度の自閉症と統合運動障害と診断されたのは、彼が3歳半の時でした。彼は言葉を発することができず、専門家にはこれから先もずっと話すことはないだろうと言われていました。
多くの研究者たちのアドバイスに従い、まずは厳しいグルテン/カゼインフリーダイエット(gf/cf)に挑戦しました。これが功を奏したのですが、もっとできることがあるのでは、と感じていました。そしてナターシャ先生を訪ね、ウォーカーの栄養プログラムを相談したとき初めて、健康な食べ物によってウォーカーの胃腸を治すまでの道のりは長いものになると気付かされたのです。皮肉なことに、私たちはいつも自分の家族は健康に気を使っている方だと思いこんでいたのです。毎日の食事をよく分析してすぐに気がついたことは、私たちが、化学薬品漬けのインスタント加工食品ばかりを食べるというわなにはまっていたということです。ナターシャ先生のアドバイスに従い、未加工の自然なままの食べ物を食べるようにしたところ、すぐにウォーカーに変化が現れました。食事を変えて数週間のうちに、ウォーカーは人生で初めて文を話し、その後はご存知の通りです!
ナターシャ先生がくださった栄養アドバイスは、ウォーカーの回復に計り知れないほど大きな貢献をしてくださいました。
息子は文字通り「回復」しました。今では彼は(5歳になりました)普通学校に通い、たくさんの友達がいます。それどころか、とても社交的なのですよ。学習スピードも周りと変わりませんし、自閉症や統合運動障害の症状はほぼ気付かれないほどになりました。2年前の彼を知る人たちは、彼の信じられないほどの「変貌」ぶりに驚いています。完全に感情を失い、世界から孤立した子どもが、今のような状態になるなんて。もう驚きの一言です。「食習慣と栄養」について周りの人に話すこともありますが。人が食べ物によってそのように変わることができるということを、いまひとつ理解できないようです。結局のところ、私たちが目にしたような変化を目の当たりにしなければ、ウォーカーが起こした奇跡を完全に理解することは難しいということですね。
自閉症、ADD、ADHDなどの子どもを治療するための食事療法について書かれた本はたくさんあります(全部読みました)が、ナターシャ先生がくださった栄養アドバイスと同じようなものには出会ったことがありません。実際、これらの本の中で勧められている食べ物の中には、ウォーカーに大きな害を与える可能性のあるものが含まれています。厳しいgf/cfダイエットに関する一昔前の研究もそうですが、それは氷山の一角にすぎません。もっとひどい話がたくさんあります。たくさんのご家族がこういったアドバイスに従い、「加工」され、有害な物質をたっぷり含んだgf/cfダイエット用食品を買っているのです。私はその光景を見ると、やり場のない気持ちに襲われます。そしてこういったご両親は、gf/cfダイエットではダイエットコーラやポテトチップスを食べることが許されると知って大喜びし、そういうものをまとめ買いしているのです。なんてこと!
ホリー・ブランチ、ウォーカーの母
イギリス、サリー在住