自閉症との出会い

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私が自閉症という言葉を始めて聞いたのは、まだピラテス・インストラクターをしていた頃ですから、今から約10年くらい前です。

私のお客さんKate(仮名)のお孫さんMary(勿論、仮名)が自閉症と診断されたのでした。その時私はまだ自閉症が何なのか、全く知りませんでした。でも、Kateに「牧子、うちのMaryを躾けられるのは貴方しかしないわ!家に教えに来てくれない?」と頼まれて。何でも興味を持つ私は、「まあ、会って見るだけ・・・。」と、Maryの家へ出かけました。

その頃、すでに人間の姿勢と立ち居振る舞いの癖から心理を読んだり(Somatic-Psychologyと言う。)出来るようになっていた私は、Maryを観察する事から始めました。

Maryは、目は見えて耳も聞こえるけれど人とコミュニケート出来ない、ヘレン・ケラー状態でした。彼女のしたい事を、したい時に、したいようにするのです。彼女の両親が話しかけようが、誰が気を引こうとしようが全く興味を持たず。無理に誰かが躾けようなどと試みれば、突然泣き喚いて、いわゆるタントラム。家族は、傍迷惑になるのが恐くて一緒に外出もできない。

私がMaryに始めて会ったのは、彼女が3歳の終わりごろだったと思います。

初めに私が試みたのは、食事の時のマナー。Maryはほとんど犬食い。食べ物をぐちゃぐちゃに手で掴んで、口に押し込むと言ったやり方で、食べ散らかして後片付けが大変。イスにきちんと座ったりなんてありえない。御両親を含む周りの大人たちは、言って見れば超ワイルドなMaryをどう躾けて良いのやら、お手上げでした。

彼女の体感が充分発達していないでの、細やかな手足のコーディネーションが出来ていない。

それなのに、大人用のフォーマルなダイニング・チェアとテーブルでは、きちんと座るなんて教えられるはずも無く、先ず彼女の体のサイズにあった、子供用のテーブルとイスを買ってもらいました。

イスに座る事を先ず教えました。初めは勿論一秒として、座っていられませんでした。当たり前ですよねえ。

それから、2人羽織のように後ろから、彼女の手にナイフとフォークを握らせ、フォークを使って食べ物を口に運ぶ練習をさせました。途中、彼女がタントラムを起こしてわめいたり、フォークを投げ出したりしても、きちんとするまで何度でも繰り返し練習させました。私は、ヘレン・ケラーのサリバン先生を体験させてもらいました。

でもその日以来、Maryはナイフとフォークでご飯を食べるようになったのです。

言葉で言っても理解出来ないので、体当たりで教えるしかありませんでした。駄目な事をした時は、手の甲を軽く叩いたり、床にひっくり返って泣き喚いた時は、抱き上げてギュウっと抱きしめてコントロールしたり、こっちも体力勝負でした。言葉を理解出来ないので、スキン・シップで教えるしか方法が無いのです。自閉症でなくても、本当は多くの子供達が体感覚 (体現)による躾け、あるいは教育を必要としていると思いますが。

Maryの両親はいつも家にいなくて、まるでMaryと関るのを避けているかのようでした。ですからMaryには、いつもベビーシッターが付き添っていました。でも、ベビーシッターたちだって、自分の子供ではないし、こんなにタントラムの酷い子どもを、どうして良いか困惑していました。

ある時、Maryのお父さんが早く帰宅しました。Maryは窓際で自分の興味に浸っていたのですが、お父さんはそこから3メーターは離れているかと思われるMary のベッドにドッシリと腰を落とし、全く無視のMary に向かって「これ、幾つ?」と、指で Vサイン(つまり2ですけど。)を作って訊きました。「え~!それは無理でしょ。」とは、叫びたくても叫びませんでしたけど。何故、近くによって抱きしめるとか、目を見て話すとかしないのか不思議でした。

お母さんが早く帰ってきた時は、デリバリーのチャイニーズ・フードをプラスチックの容器に入れて立ったまま (という事は、Maryは小さいので自然と上から目線になっちゃいます。)「食べなさい。食べないと、体に良くないわ。」と。「え~!これも無理でしょ。」とも言いませんでしたけど、もしMaryが自閉症でなくても、チョット目を疑ってしまう光景でした。

私の目にも全てがチグハグで、こんなんで自閉症治るわけないでしょ!って感じでしたね。

冷蔵庫に入っている物は、冷凍物のピザとか、ワッフルとか、フライド・チキン、フライド・ポテトなど。 今振り返れば、このメニューGAPS™症状の人達(子供も大人も)が、大好きな物ばかりなんですね。 その当時栄養学については素人だった私が見ても、これじゃあかえって病気になるとしか思われないような物ばかりでしたね。

兎に角、10年前のマンハッタンでも、今ほどに自閉症が知られていなかったのでしょう。こういった障害を持つお子さんの御両親たちは、成す術も無く・・・途方にくれる・・・と言う状態でした。当事者であるお父さんとお母さん、そして家族達がオロオロしたしまうのは仕方がない事だと思います。でも、本当に助けて上げられるは、このオロオロしてしまいがちな家族なのです。

そんな当時、すでにアメリカでは自閉症の子供に対してはスピーチ・セラピストや音楽セラピー、アート・セラピーなど、そして特殊学級や学校等のサービスが無料で受けられる政府のシステムが出来ていました。自分の直接周りにはそれほど知られていなかった自閉症も、アメリカ全体ではすでに広がる傾向を見せていたのかもしれません。こういった政府のバックアップシステムに関して、アメリカは凄い国だと何時も驚かされます。

私もMaryと一緒に彼女の行く、障害児用幼稚園に何度かついていきました。Mary一人だけ見ていたのでは、自閉症という状態の共通の問題が見えてこないからです。その当時自閉症の原因が、ナターシャ博士の教えるGAPS™状態にあるなんて知っている人は、アメリカにはそれほどいなかったでしょう。

1クラス10人足らずの生徒に、4人程の先生方で構成されていました。ただ先生の質はというと、私の目から見ても良いとはいえませんでした。先生方も、すでに疲れていたのかもしれません。何と言っても、生徒達の症状の出方もバラバラなら、行動もバラバラ、一つにまとめるなんてほとんど無理。怪我をしたりしないように見張っているのが精一杯の出来る事って感じでしたから。

こんな世界があるのだと、その当時は本当に驚きました。でもこれが私をGAPS™プラクティショナーへと導いた、キッカケになったのは間違いありません。

 

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MAKIKO道場総帥。 幸せになる為の術を学ぶ道場をニューヨークに開設。 ポスチュア・バランス・エクササイズ発案と指導。霊感をもった、ナチュラル・ヘルス&ライフ・スタイル・カウンセラー、エネルギー・ヒーラー。 健康である事、自然である事が、人間を幸せに導くと確信する。 3次元の地球に生きる意味を、追求している。