今回は、前2回を通してご紹介した退行前世療法を通して浄化する、心の問題「エゴ」について、学んでみましょう。
「エゴ」とは何か?単に自己中心的であるとか、我侭であるといった事ではありません。エゴとは、自分は愛される人間なのか?価値のある人間なのか?といった人生における不安です。ミルナ・マティーンというカナダのセラピストの、何時、どのようにして私たちの心の中にこういった不安が起るのかという、とても興味深い研究がありますので御紹介します。
お母さんに、小さなお子さんを置いて一旦部屋の外へ出てもらいます。するとお子さんは、1)落着いた様子で、お母さんを探し始める、2)狂ったように泣きじゃくりながら、探し始める、3)諦める、といったそれぞれが異なった行動に出ます。その後お母さんは部屋に戻り、お子さんを抱き上げます。お子さんの反応は、a)お母さんの首に両腕を回して、嬉しそうにする、 b) 片方の腕だけあるいは手だけお母さんに触れて、お子さんの半身はお母さんからソッポを向く、c)完全無視。とまたそれぞれが異なった態度に出るのです。胎児の時からそれまでのお母さんとの関係にどの程度満足しているかが、お子さん達の態度に表れます。1)と a)は、お母さんを信頼している場合、2)とb)は、信頼関係に傷がついている場合、3)とc)は、親子関係が完全に捻くれている場合。小さくても子供たちの心の中には、お母さんを見る目が出来上がってきているのです。このお母さんとの信頼関係が、将来のお子さんの人格形成の核になり、他人や社会に対する態度に反映されて行きます。親子の心の繋がりが、人生の初めに充分に育まれなかった場合、彼らの「自分は愛されない人間かもしれない。」という不安を潜在意識下に作ってしまう事になるわけです。勿論お父さんのお母さんへの精神的サポートが重要な鍵でもあります。
エゴのない人は、存在しません。自分のエゴを受容れ熟知するなら、人生を向上させるパワーとしてポジティヴに利用する事が出来ます。でも、もし皆さんが自分のエゴを心の奥深くに隠し、顔だけニコニコして生きるなら、そのネガティヴなエゴのエネルギーは、貴方の人生を台無しにするだけでなく、次世代へと継承されていきます。それをカルマと言います。悪いカルマを未来に残さないためにも、一人一人の人間としての心の成長が大切なのです。