覚えていますか、今年の1月に書いたブログの「ヒーラーの鉄則 その1」に河合隼雄先生のお言葉を御紹介しました。
「・・・・・「癒し」にかかわる人は、耳を傾けるべきである。それ(癒し・ヒーリング)は、そんなに甘いものでもないし、手軽に手に入るものでもない。」
ヒーラー(彼の場合、セラピストまたはカウンセラー)クライアント自身にも聞こえていない、彼らの「魂の声」に耳を傾けるという事です。クライアント達は、腰が痛い、頭が痛い、不治の病(西洋医学では)、子供が出来ない・・・・・・などと、いろいろな理由で私に会いにいらっしゃいます。
魂の声=真の声とは、身体の痛みや病気の症状ではなく、何故そういう事になったのかという原因です。その原因は、必ず心にあります。
私達プロのヒーラーは、そういったクライアント達の言葉の中に埋もれてしまっている、心の奥にある痛み=魂の声を聞く能力、真の問題を見抜く、感じ取る力を持たなければ、真のヒーリングは務まりません。
もし、ヒーラーが西洋医学のお医者さん達と同じように、自分の能力を利用してクライアント達の痛みを一時的に取り除いてしまうのなら、それはヒーリーグとは言えないのです。
人生は、人間としての自分を学ぶ場ですから、その一瞬一瞬、常にそして全ての時に、私達は何かを学び続けています。
「ヒーラーの鉄則 その1」の中で御紹介した河合先生のお言葉をもう一度お借りします。ここでは一行ずつ分解し、私の解釈を入れます。
- 根本は、本人の自ら癒す力に頼るより方法がなく、本人にしか本人の問題(人生)を変える事は出来ません。人生に起こる全ての事象は、その人生の持ち主であるクライアントにのみ与えられた学びの場であるからです。本人が立ち向かわない限り、どうにもならないのです。
- 治療者(ヒーラー)が(クライアントを)「治す」事はできないということである。ヒーラーがクライアントの症状を治すという事は、治すのではなくヒーラーの思い込み=エゴをベースに正してしまっている事になります。ですから正す=治す事は出来ません。ヒーリングは、人生の学びであり、この素晴らしい特別な学びは誰にも教える事はできないのです。ただガイドをしたりサポートをするガーディアンのような役目をするだけです。
- (本人は)深い苦しみや悲しみに直面していかなくてはならない。この深い苦しみや悲しみというのが、終わっていない心の奥底で、癒しの妨げになっている原因です。大抵は、インナーチャイルドとも呼ばれる、子供の時に何らかの理由で抑えつけられたまま浄化されていない思い出、つまり感情です。そしてまた、この浄化されていない感情=エゴがベースになっている、自分に対する、あるいは周囲の人達に対する思い込みです。
- そのときにそれを共感しそこに寄り添ってくれる人(注、例えばカウンセラー)が居るか居ないかは、実に大きい違いである。共感は同情ではありません。客観的なスタンスで、自分の問題に立ち向かうクライアント達を適切にサポートできる(ヒーラー)・・・という意味です。
- クライエントにとっては、治療者が苦しみから逃げ出そうとしている自分を助けるのではなく、むしろ苦しみに向かうよう強制しているのではないか、と感じられる事さえある。ここがプロのヒーラーにとっては、一番のチャレンジでしょう。これが出来るアドバンスのヒーラーを私はあまりみた事がありません。ここが私が何度かこのブログにも主張している、ヒーラーはけっしてクライアント達をフワフワと気持ち良くするのが仕事ではないという意味です。
クライアントの問題を見る時、ヒーラーは同時に自分の問題も見る事になります。自分の問題を見る勇気のないヒーラーには、クライアントの心の痛みを分かち合い、共に追求する力はありません。
クライアントを甘やかすのがヒーラーの仕事ではないという事です。またクライアントを甘やかすヒーラーは、自分も人に甘やかされる事を望んでいる人間です。勿論、人生には甘えも必要です。甘え=緩みであり、人を信用し受け入れる力でもあります。この緩みとしての甘えと独立心としての緊張を、バランスよく上手に使いこなせるヒーラーが真のヒーラーに成長するのです。それが理解出来るようになるには、かなりの修行が必要です。
私も最高のヒーラーを目指して、目下修行中です。
ヒーラー新米の頃は、この最後の追い込みプロセスが体力的に重労働です。ですからヒーラー自身のエネルギーの通りが悪いと自分が病気になってしまいます。良くヒーラーが癌になったりMSになったり、肝臓や腎臓の機能低下が起こったり、軽い所では肩こり、腰痛、頭痛になったりするのはこのためです。
エネルギーの通りが悪いという事は、クライアントと同様に浄化されていないエゴが溜まっているという事です。かなり経験を積んだ優れたヒーラーであっても、時々御自分の心と身体のお手入れ及びメンテナンスは必要です。何もしないで良い人などいません。
また、きちんと修行して行けば自分のエゴが浄化されるのに比例して、全てのプロセスが楽にスムーズになります。それはヒーラーとして正しい方向に成長しているサインなのです。
ヒーラーの仕事は、
- クライアント本人が、自分を癒せるように彼らの問題のある場所を的確に示し、
- その場所へ意識を向けるよう促し、
- 彼らがそれを見るべく勇気を奮い立たすのに力を貸し、
- 閉ざされた心が開く瞬間には、ガーディアンとしてウィトネスとして、その場と時に一緒に存在し、
- クライアントと共に、その感情を共有し、受け入れ、成長し、
- 開かれた心を持った新しいクライアントの存在と、それまでの過去のクライアントの存在が和解出来る様にミディエーターを務める
といった事なのです。
そしてクライアントとして真のヒーリングを求めるならば、
- 何故、自分の人生が思うように行かないのか?欲しい物が手に入らないのか?何が問題なのか?それまでの自分を振り返り、
- 自分の人生を邪魔している自分のエゴ、浄化されていない感情を直視し、理解し、
- その感情によって作られた自分のエゴ(思い込み)によって盲目になっている心の壁を取り除き、(駄目だと思っている自分を受け入れ、)
- 自分に与えられた真の能力を手にする事。
- そしてその能力を、自分のため、家族のため、社会のために有効活用出来るよう修練を重ねていく事。
が、問題を問題とせず、心身の健康、仕事、人間関係(親子、夫婦、友人、社会)などの躓きや問題を解決する事を、人生の学びの場としてポジティヴに活用していくための唯一の方法なのです。同時にそれは、「健康で幸せな、大満足できる人生への道」でもあるのです。