真っ直ぐ立つというのは、姿勢を改善するには基本中の基本であり、同時に習得するのが一番難しいものです。
っで、皆さんの多くがトライする、「胸を起こして肩を後ろに引く」やり方では、真っ直ぐなんて立てません。
私のブログを散々呼んで下さっていらっしゃる皆さんは、良〜く頭では解っていると思うんですが、姿勢というのは身体的ではありません。とっても精神的です。
ですから、姿勢を良くしたい人は心と身体の繋がり自体に目を向ける必要があります。
真っ直ぐ立つには、自分の内側にある心の問題にしっかり向き合う事です。
私が存じ上げている大抵の姿勢エクササイズの先生方は、左右の甲骨の間にあるRhomboid majorと minor (日本語で僧坊筋?)を収縮させて、胸を張ってしまっています。となると、勿論その外側にある、Trapezius は、緊張している所と弛緩している所とバランスが悪くなります。それによって、胸骨は不自然に前に押し出されているので、四股と頭の胴体の中心へ集まってくる線 (カーディナル・ラインと言う) の動きとバランス良くコーディネイトされず、緩むべき時に緩む事が出来ず、いつも緊張状態です。この胸骨は胸郭全体の動き、さらには肺の動きの要でもありますから、呼吸も儘ならないわけです。当然その人は、常に不必要な身体の緊張と弛緩を繰り返す事になりますから、真の意味で姿勢の良い人に比べ、披露も早いですし、老化も進んでしまい。逆効果です。
しかも、エクスプレスされるべき感情は押さえつけられ、常に無意識下でフラストレーションを溜めているという心身の悪循環になっているはずですから、神経もピリピリしちゃいます。
最近、「内側から美しくなりたい、云々。」といったコピーが雑誌などに目立つようになりましたが、心が発するエクスプレッションをエクスプレスせずに、内側から美しくなる事は、無理です。
人間が美しく真っ直ぐ立てるのは、自分の心に向きあった時のみ。皆さんが今という時間におかれた人生の課題に、心をしっかりすえる事が出来た時に、凛として真っ直ぐ立つという状態になるのです。
例え、心の内に悩みを抱えていたとしても、その悩みに迎う勇気と潔い態度が、皆さんの姿勢を元気に、美しくするのです。この場合、心の中の悩み=人生の課題に、目を向けるだけで良いのです。解決する所まで行かなくても、真っ直ぐ立てるようになり、美しい姿勢への第一歩を踏み出せるのです。
その姿は、貴方がそこにいるだけで、周りで見ている人達に感動を与える事の出来る姿勢なのです。
姿勢とは、そういう物です。
そういう姿勢をやってのけたのは、私が知る限り、舞踏家であり私の恩師である大野一雄先生だけです。彼は、舞台にただ立っているだけで、観客を感動させる事の出来た人です。