私が結婚を意識したのは、2007年の夏の初めでした。
あるリフレクソロジスト(日本では、足ツボ・マッサージ)でサイキックでもあるヒーラーのセッション中、彼女に「牧子さん、貴方は結婚をしなければいけません。それも幸せな結婚でなければダメです。」と言われた事がきっかけでした。
彼女によれば、「幸せな結婚」をしないと、「今世で与えられた全ての能力にアクセスできない、(つまり、使えるようにならない)・・・云々。」でした。
私って、こういう「お告げ」に、とっても信心深い所があるんです。こういう事を言われると直ぐ信じて、そのつもりになっちゃうんですねえ。
この一ヶ月ほど前に、一人で素敵なレストランでお食事をしながら、「ああ、私って本当に一人が好きなのねえ。一人の方がせいせいとして、美味しいお食事もじっくり味わえていいわあ・・・・。もう一生シングルでいよう!」と決意したばかりだったんです。
仕事も上手くいっていて順調でしたからお金にも困らないし、住む所もちゃんとあって、趣味のタンゴも楽しかったし、シングルの人生を謳歌していました。不満と言えば、モテルのは良いけど付き合うボーイフレンド達が皆そろって「帯に短し、襷に長し」だと思っていた事ですね。
このヒーラーの方にはその当時よくお世話になっていましたけど、シングルでいる決意については話してもいないのに、私の密かな思いを見透かされたようで驚いてしまいました。
でもそれまで、あのTV番組の「Sex & The City」を地でやってましたから、もう大変。旦那様になる人のエネルギーをお迎えするには、身の回りを先ず浄化しなければなりません。
私にとって何と言っても結婚は神聖な物、いい加減な気持ちでは出来ません。私の良く知る当時のアッパー・イーストサイドのお金持ちのジューイッシュ・アメリカンのように、結婚と離婚を繰り返すと言うのは、どうも人生の無駄のようにしか私には思えませんでしたから。
まあ、離婚は素晴らしく深い人生の経験ですし、そういった経験が「無条件の愛」を学ぶ過程で必要な人もいるでしょう。ただその当時、アッパーイーストサイドの連中の複雑そうな離婚騒動の話を聞いていた私にとっては、時間と労力の無駄にしか思えなかったんですねえ。
ですから、結婚するなら離婚なんて絶対したいと思わないような、納得のいく人とでなければ駄目だと決めていたんですね。
付き合っていた男たち数名に事情を話して「さよなら」をして待つ事3ヶ月、誰も現われない。私にとって3ヶ月も誰にも声をかけられない、ボーイフレンドがいないなんて、その当時は考えられませんでした。
その3ヶ月のうちの1ヶ月は、フランスのモンペリエにヴァケーションに行っていたんですが、旅行中に一人の男にも誘われないなんてありえない事です。そのくらい何処に行ってもモテモテだったんです。
一瞬、これは神様に騙されたかなっと思ったくらいです。
フランス人は、8月はヴァケーションに行ってしまっていて通常のイベントはほとんど全てクローズしてしまうんです。ですからモンペリエでは、楽しみにしていたタンゴのサロンも開かれず、素敵な男性にも出会わず、ちょっと退屈していましたから、帰ってきたその日の夜すぐにタンゴのサロンに行きました。
そこで待っていてくれたのが、今の旦那様なんです。彼とは10年来のタンゴ仲間ですが、ロマンチックな関係とはそれまで無縁でした。
今でも、「(サロンの方へ歩いてくる私を見て、)僕の所へ帰ってきたと思ったんだ。」と言っています。
(続く)