20年前、お金も無ければ知っている人もいない、そして英語も儘ならずという状態で、私はニューヨークへ来ました。何より自分を支えてくれたのは、母から受継いだ楽観主義と、常に前向きに生きようと思える人生に対する姿勢、ポジティヴ思考でした。「生き急いでいる」という回りの忠告も、馬の耳に念仏。「何とかなるさ」と、私は人生を全速力疾走します。「サクセスフル」とか「パワフル」とか呼ばれるようになった頃、大変な不満足感に襲われました。胸の辺りが何となくスッキリしないのです。何の迷いもなく、どんどん上向きになって行く自分の人生が楽しくて仕方がなかったのに、突然、不幸せな気分になりました。前進しようと思っても、私の心が止めるのです。人生の一大事です。胸を張って顔を上げ、どんな時もネガティヴな態度をとらない、勝気で心身ともに固まった自分がいました。自分に正直でなかったのです。胸を張っった良さそうに見える姿勢は、背中に呼吸が入りません。長い間には、首や肩、腰などの痛み、顎関節症、生理痛、生理不順の原因となります。呼吸が十分に出来なければ、心理的にも余裕が無くなります。でも、頭は心身の状態と関係なく、癖になったポジティヴ思考を続けてしまいます。成功して物質的金銭的に豊かになっても、人としての心の成長が伴わず、私の魂が不満足で不幸せだったのです。世の中のポジティヴを追うあまり、ネガティヴを否認していたのです。本当は、両方あるから人間なのに。
ネガティヴな面に目を向け反省する時、心身の歪みやコリが解け、リラックスして柔らかい自分になります。ポジティヴに思考する努力をする必要がなくなり、真にポジティヴな人間に成長するのです。
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