私の場合、霊気マスターのトレーニング中に、自分の手から光が出ているのに気がついた。最初は、沢山の蜘蛛の巣のように細い糸が見えて、驚いた。でも、ピラテスを教え始めた時から、人間の身体から出るエネルギーの動きが、見えるようになっていたので、すぐ何が起こっているか理解した。
霊気マスターになって、間もなくサード・アイ・ヴィジョンを開いたまま霊気をするといろいろなものが見えるようになった。オーラの色、憑依霊、私にいろいろな事を教えてくれる光の存在、私の守護霊たち。そして、このサード・アイ・ヴィジョンを通す事で、霊気のヒーリング能力が、数倍強くなる事に気がついた。また、この特殊なヴィジョンを通して、クライアントの霊的エネルギーの中に入って行き、そのクライアントの意識をアストラル体の中へ誘導し、前世療法をする事が可能となった。催眠療法と違い、前世を見るだけで終わるのはなく、思いの残っている時間と経験に戻って、体験しなおしてもらうのだ。そうする事で、その時にやり遂げる事のできなかった思いを処理し、その人の真実の自分に近づいていってもらう。途中、憑依霊などの強い邪気がクライアントの身体の中に住んでいる場合、除霊、及び浄霊も行う。どうして私が除霊の仕方を知っていたのか知らないが、憑依霊に始めて気がついた時に、何かがガイドしてくれて、できるようになった。そのガイドが光の存在であると知ったのは、ずっと後の事だった。それまでも、どうしてこんな事を自分が知っているのだろう、っと不思議になる事は沢山あったが、この時ほど驚いた事はない。初めは、除霊といって、有無を言わさず霊を抜いて光の中に飛ばしてしまう方法だったが、ある時から霊と会話ができるようになった。話を聞いて見ると、霊たちもとても悩んでいるのが解った。それで今度は、先ほどのヴィジョンを通して霊たちの過去や、彼らの肉親たちのエネルギーに、触れる事ができるようになった。最近は、クライアントが深くサードアイ・ヴィジョンに入れば、必要に応じて、霊たちの前世にまでいかれるようになった。
こうしてエネルギーの世界を、トラベルできるようになって見ると、映画や本などで学んで来たオカルト的な世界は、確かに存在する事が自分にとってリアルになった。
でも、霊たちのあのオドロオドロしたイメージは、私の今までの経験上全くない。霊たちは、ともすると人間よりも素直で、皆、幸せを探して道に迷ってしまった、ただの迷子である事が解る。しかもとても礼儀正しく、本来彼らが行くべき光の中へ、帰って行くのを助けて上げると、涙を流して「ありがとう」とお礼を言ってくれる。彼らの「ありがとう」を聞くと、本当に感謝して、「ありがとう」を言うと、こういう感じがするのかと勉強になる。身体を持つ人間達の、「ありがとう」が嘘っぽく聞こえてしまうのだ。身体がない分、霊たちは嘘をついたり本当の自分の感情を繕ったりできないようである。つまりエネルギーしか存在できないから、思った事が直接伝わってしまう。 誤魔化しが効かないわけである。
あるクライアントに、何千年も前のエジプトのミイラの霊が、ついていたことがあった。ミイラは、まだ、若い12,13歳で亡くなった、身分の高い男の子だった。彼は、もし生きていれば、自分を祭る神殿を建てるのが夢だった。ところが、毒蛇に噛まれて、命を落とす事になる。彼が言うには、本当は助かるチャンスがあったのに、彼を診た医者がちょっとミスをしたのか、怠けたのか。彼は、その医者のせいで助からなかったと思っていた。そして、この何千年もの間、その医者や、そういう怠惰な心を持った人間たちを、呪って来ていた。何千年もかけて大きくなった彼の呪いは、彼にもコントロールが出来なくなっていた。それで、彼は、自分の責任であるこの呪いを残して、上には行かれないと嘆いていた。私も、こんな重い霊は初めてで一瞬戸惑ったが、すぐ、どうしたら良いか光達が教えてくれた。私の場合、そういう時「ピン」とくるのだ。この呪いを解くには、愛しかなかった。それは、誰の愛でもなく本人の自分に向かう愛。それしかなかった。彼はその呪いを作った自分を、罪深く思っていた。その自責の念を解かなければ、彼の心の扉を開いて、自己愛を引き出す事はできない。 勿論、光達の助けによって、彼を誘導し、彼の魂の真実に触れる事ができた。彼のオーラは、黄金に輝いていた。神々しいというのは、こういうことかっと思った。彼は、真実の自分に触れる事で呪いを解き、満足して私のクライアントに別れを告げた。彼が行く前に、彼のミイラは、ある有名な博物館に飾ってある事を教えてくれた。インターネットで、調べると本当にあった。ドキっとした。ああ、本当なんだ!
面白い事に、私のクライアントがその日、スタジオに入ってきたとき、私のアシスタントは、何か古い臭いがすると言っていた。ミイラのカビの臭いだったのだ。こういう事は、良くあって、出て来る憑依霊の特徴を、クライアントが身につけてくる事が多い。40歳代の女性のクライアントなのに、5歳くらいの男の子みたいな顔をして、話し方や振る舞いなども、憑依霊のパーソナリティになっているのである。だから、何度もスタジオに来るクライアントなら、どんな霊を着けて来たのかスグ解る。
つまり、憑依霊をつけていると、本当の自分を表現できない、行動できない、誤解されやすいなどの弊害が生じるという事である。イライラする、内向的、思った事ができない、やりたい事が見つからない、やる気がしないなどの心の不安定な人は、気をつけた方が良い。
でも、前にも触れたように、私がお話をした憑依霊たちは、基本的に素直である。いつも必ず、彼らに聞く質問は、
1、名前
2、亡くなった時の年齢
3、死因
4、死んだ事、身体を失った事を知っているかどうか。
5、クライアントを選んだ理由。
6、これから、どうしたいのか。
この5番目の「クライアントを選んだ理由」は、クライアント本人にとって、とても重要である。大抵は、霊がやり残した感情と同じものを、クライアント自信が所有しているからである。先ほどのミイラの霊は、人に対する怒り、憎しみだったわけだが、そのクライアントも、同じ感情を心に持っていた。彼女の場合、前世で魔女狩りにあったり、子供を亡くしたりと、とてもドラマチックな体験ばかりしているせいで、人生における怒りと悲しみは、かなり深いものがあった。そして、その不当な扱いをした過去生の中の人たちを、ある意味、呪っていた。 私と霊のやり取りを、聞き、体験する事で、クライアント達にとっては、自分を振り返る事になる。自分の前世へ戻って、やり残した自分の感情に面と向かい、責任をとる心の準備ができるのである。そういう意味においては、憑依霊に感謝すべきだと私は思っている。
1人だけでなく、何人もの霊を憑けている人もいるし、どんどん新しい霊を憑けて来てしまう人もいる。霊たちに聞いたのだが、人間の身体の周りにあるエネルギー体 (エーテル体という) が壊れていて、その部分が彼らにとっては、黒い影のように見えるのだそうだ。その中に、自分と似たようなやり残しの感情があるのが、感じられるそうだ。霊も一人で寂しいから、ついその同じ感情を共有できる人の中に、入ってしまうのである。ある霊の話によれば、霊本人の意思とは関係なく、一瞬のうちにその影の中にすいこまれてしまう事もあるそうだ。その話は意外だったが、私にしてみれば、霊が憑依しているのか、人間が霊に憑依しているのか、考える良いキッカケとなった。「憑依」呼ばわりされて、迷惑がられて、霊たちも苦労が耐えない。完全に人間の方が、霊に憑依しているのではないか、と思うケースもある。得に身近な人が亡くなった場合、悲しみのあまり人間の方が心を解放できずに、亡くなって、上に行こうとしていた人の足を引っ張ってしまう。子供を亡くした親御さんとか、恋人を亡くされた方とかである。特に最近は、延命が重要な事とされているので、本人は上に行きたくても、周りの人たちがその邪魔をする、というのは良くあるはなしだろう。現代医学は、死について、もっと研究すべきだと思う。本当に延命が良い事なのかどうか? エリザベス・キュブラー博士の研究をもう一度、社会に提示するのが良いと私は思う。
話は、少々とんだが、こういう事ができるようになって、気がついたのはこういった魂のレベルまでエネルギーを浄化すると、身体の姿勢が突然良くなることである。私のこの霊的能力は、姿勢を細胞のレベルで研究してきた結果なのである。魂の姿勢まで含めなければ、本当の姿勢は語れないのだと、今の私には言える。